Macの「ジャーン」という起動音をオン・オフする方法を図解入りで詳しく説明します。
対象のMacは、Arm Mac(M1 Macなど)・インテルMac・PowerPC Macです。
さらに各設定では「何をやっているか」についても説明します。
Macの起動音の設定は「NVRAM」に保存します
Mac本体の内部には「NVRAM」という書き換え可能なメモリ領域があって、ここに起動方法や画面解像度などの設定を保存しています。
このNVRAMに、Mac起動時に「ジャーン」という音を鳴らすかどうかの設定も保存できます。
NVRAM 【Non-Volatile RAM】
NVRAMとは、コンピュータの記憶装置として利用される半導体メモリ装置のうち、自由に読み書きが可能で、電源を落としても内容が失われないもの。
以下からは色々な設定方法を紹介していますが、全てNVRAMに設定を書き込む仕組みを利用しています。
Macの起動音をオン・オフにする方法の一覧
Macの起動音をオン・オフにする方法をネットで調べると、メジャーな方法では以下の4つが見つかります。
ただし、この中で④番目はここ数年間アップデートされていないアプリが多く、最近のMacでは使えなかったり、最悪起動しなくなるリスクがあるのでオススメしません。
なお、このページでは具体的なアプリも紹介しますが、やむをえず古いMacを使っている場合に、あくまでも自己責任で行うようにしてください。
以下の一覧の「方法」のタイトルをクリックすると、それぞれの方法の説明箇所にジャンプできます。
方法 | 対象機種 | メモ |
① システム環境設定で設定 | macOS 11.0 Big Sur以降 が入ったArm Mac/ インテルMac |
第一のオススメ |
② NVRAMの「StartupMute」設定 | 明確な対象範囲は不明 (2016年Lateモデルから?) |
第二のオススメ |
③ NVRAMの「SystemAudioVolume」設定 | 明確な対象範囲は不明 (昔からある方法) |
第三のオススメ |
④ アプリを使う方法 | macOS 10.12 Sierra あたりから使えない ものが多い |
オススメしません |
一覧を見てもわかるように、使っているMacがmacOS 11.0 Big Surの場合は、設定が簡単なので①をオススメします。
ちなみに、この①の方法は実は次の②の設定を「システム環境設定」で行えるようにしただけで、NVRAMに書き込む設定は全く同じです。
②と③の方法は、どちらもMacの「ターミナル」でコマンドを実行して、NVRAMの起動音の設定を書き換えています。
②の方法は、おそらく2016年以降のMacで有効な方法で、③はPowerPC Macからある方法です。
②の対象機種は、手持ちの実機が少ないので全ては確認できないのですが、おそらく次のようになります。
- 2016年10月に発売となったMacBook Pro以降のすべてのインテルMac
- ただし、MacBook Air(13-inch, 2017)は除く
- すべてのArm Mac(M1 Macなど)
なお、macOS 11.0 Big Surがインストールされている場合は、①の方が操作が簡単なので、AppleScriptでコマンドを走らせて何らかの自動処理をする場合を除き、あえて②を使う必要はないでしょう。
③の対象機種は、最近のArm Mac(M1 Macなど)やインテルMacの機種は、どこまでカバーしているかははっきりしていません。
よって、まずは②の方法を試してみて、うまくいかなかったら③を試すのが良いでしょう。
「ターミナル」で起動音の設定を変えても、当該Macでは無効な設定の場合は無視されるためです。
よって、設定が有効かどうかは、実際にMacを起動してみるまではわかりません。
①システム環境設定で設定
この方法は、macOS 11.0 Big Surから導入された機能です。
なので、Arm Mac(M1 Macなど)だけでなく、インテルMacでも設定可能です。
▶ Macのメニューバーの一番左のアップルマークをクリックして、表示された項目から「システム環境設定」を選びます。
▶ 「システム環境設定」の中から、「サウンド」をクリックします。
▶ 「サウンド」が表示されたら、【起動時にサウンドを再生】のチェックを外します。
反対にチェックを付ければ、起動時に「ジャーン」が鳴ります。
▶ ここまでで設定は完了なので、「システム環境設定」の左上にある赤い丸いボタンをクリックして閉じます。
② NVRAMの「StartupMute」設定
いずれも、Macの「ターミナル」でコマンドを実行して設定します。
②-1 起動音を消す手順
▶ 以下のコマンドをキーボードのcommand ⌘ + Cを押してコピーしておきます。
sudo nvram StartupMute=%01
大文字・小文字を間違えると、正しく設定されないので、正確にコピーしてください。
また、このコマンドの意味は、
- NVRAMの領域に、StartupMuteという設定を%01、つまりオンにする(起動音消去の設定をオン=起動音を鳴らさない)
となります。
数字が「%01」となっているのは16進数の表記のためで、10進数だと「1」に該当します。
▶ Finderを前面に表示して、フォルダ「アプリ」-「ユーティリティ」の中にある、アプリ「ターミナル」を起動します。
▶ 「ターミナル」が起動したら、カーソルが点滅している部分をクリックして、あらかじめコピーしておいたコマンドをキーボードのcommand ⌘ + Vを押してペースト(貼り付け)します。
▶ コマンドがペーストできたら、キーボードのreturnを押して実行します。
▶ パスワードを聞かれるので、アプリのインストールやMacのログインなどで入力するパスワードを入力してから、キーボードのreturnを押してコマンドを実行します。
▶ コマンドを実行したら、Macを再起動して起動音が消えているかどうかを確認します。
②-2 起動音を鳴らす手順
▶ 起動音を消すときにコピー・アンド・ペーストしたコマンドの代わりに、次のコマンドを使って、同じ流れで実行します。
sudo nvram StartupMute=%00
大文字・小文字を間違えると、正しく設定されないので、正確にコピーしてください。
また、このコマンドの意味は、
- NVRAMの領域に、StartupMuteという設定を%00、つまりオフにする(起動音消去の設定をオフ=起動音を鳴らす)
となります。
数字が「%00」となっているのは16進数の表記のためで、10進数だと「0」に該当します。
▶ コマンドを実行したら、Macを再起動して起動音が鳴るかどうかを確認します。
②-3 現在の設定内容を確認する手順
▶ 起動音を消すときにコピー・アンド・ペーストしたコマンドの代わりに、次のコマンドを使って、同じ流れで実行します。
nvram StartupMute
大文字・小文字を間違えると、正しく設定されないので、正確にコピーしてください。
また、このコマンドの意味は、
- NVRAMの領域の、StartupMuteの設定を表示する
となります。
▶ コマンドを実行すると、図のように現在の設定内容が表示されるので、「StartupMute」の設定値を確認します。
値 | 内容 |
%01 | 起動音消去の設定をオン=起動音を鳴らさない |
%00 | 起動音消去の設定をオフ=起動音を鳴らす |
③ NVRAMの「SystemAudioVolume」設定
いずれも、Macの「ターミナル」でコマンドを実行して設定します。
③-1 起動音を消す手順
▶ 以下のコマンドをキーボードのcommand ⌘ + Cを押してコピーしておきます。
sudo nvram SystemAudioVolume=%80
大文字・小文字を間違えると、正しく設定されないので、正確にコピーしてください。
また、このコマンドの意味は、
- NVRAMの領域に、SystemAudioVolumeという設定を%80、つまり無効にする
となります。
数字が「%80」となっているのは16進数の表記のためで、10進数だと「128」に該当します。
なぜ128で無効になるかというと、SystemAudioVolumeの取りうる値は0〜127までなので、128という範囲外の数値が設定されると無効になるためです。
▶ Finderを前面に表示して、フォルダ「アプリ」-「ユーティリティ」の中にある、アプリ「ターミナル」を起動します。
▶ 「ターミナル」が起動したら、カーソルが点滅している部分をクリックして、あらかじめコピーしておいたコマンドをキーボードのcommand ⌘ + Vを押してペースト(貼り付け)します。
▶ コマンドがペーストできたら、キーボードのreturnを押して実行します。
▶ パスワードを聞かれるので、アプリのインストールやMacのログインなどで入力するパスワードを入力してから、キーボードのreturnを押してコマンドを実行します。
▶ コマンドを実行したら、Macを再起動して起動音が消えているかどうかを確認します。
③-2 起動音を鳴らす手順
▶ 起動音を消すときにコピーしたコマンドの代わりに、次のコマンドをコピーして、同じ流れで実行します。
sudo nvram -d SystemAudioVolume
大文字・小文字を間違えると、正しく設定されないので、正確にコピーしてください。
また、このコマンドの意味は、
- NVRAMの領域の、SystemAudioVolumeの設定を削除する
となります。
SystemAudioVolumeの設定値が削除されるため、起動音が鳴るようになります。
▶ コマンドを実行したら、Macを再起動して起動音が鳴るかどうかを確認します。
④ アプリを使う方法
ネットで検索すると、次のように起動音を設定するアプリの情報をいくつか見つけることができます。
ですが、アプリが古くて最近のmacOSに対応してなかったり、Macが起動しなくなるなど不具合が起きるリスクが高いようなので、使わないことを推奨します。
- StartupSound.prePane
- ダウンロードサイト:StartupSound.prefPane
- コメント
- もともとはPowerPC用のアプリ
- OS X 10.9 Mavericks以降は使えないぽい?
- Macが起動しなくなるリスクがある
- コメント
- ダウンロードサイト:StartupSound.prefPane
- VolumeReset
- Mac App Store:「Volume Reset」をMac App Storeで
- コメント
- レビューを見ると、macOS 10.12 Sierra以降は使えないぽい?
- コメント
- Mac App Store:「Volume Reset」をMac App Storeで
まとめ
以上、Macの起動音をオン・オフする方法を紹介してきました。
ここ数年間の間にも、デフォルトで鳴らなかったのが鳴るようになったり、以前使えたターミナルコマンドが使えなくなったりといった紆余曲折がありますが、Big Surでは
- デフォルトでは起動音は鳴る
- ただし「システム環境設定」の設定一発で変更できる
とわかりやすくなったのは良い傾向と思います。
(20年以上Macユーザをやっていますが、2016-2020年までのMacはハードウェア・ソフトウェア両方とも暗黒期といった感があります。)
参考資料
- Big Surの起動音の設定
- Arm Mac(M1 Macなど)のNVRAM
- コマンドラインで起動音のオン・オフ、ボリューム変更
- アプリで起動音をオフ
- Macの起動時のジャーン音を消すやつ
- Arcana Research – StartupSound.prefPane
このページの記事は、ここまでです。
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