iMac (21.5-inch, Late 2009)のHDDを交換したので、その時の手順を写真付きで詳しく解説します。
このあたりのモデルは分解が簡単で、OSも10.13 High Sierraまで対応、ハードウェアの性能も悪くないので、おすすめです。
iMac内蔵HDD交換のメリット・デメリット(リスク)
メリット
- HDDが故障しても、自分で安価に修理できる
- もともと内蔵していたHDDよりも、大容量で低発熱で騒音の少ない最近のHDDに交換できる
- SSDに交換すれば、HDDよりも動作速度が速くなり故障も少なくなる
- このページでは説明しないが、CD/DVDドライブをHDD/SSDに交換して、2ドライブ構成にできる
デメリット(リスク)
- 分解作業の難易度は中度(初回なら開封に30分ぐらいかかるかも)
- 液晶ディスプレイを持ち上げるときに力が必要なので、できれば2人で作業をしたほうが良い
- iMac本体にある、液晶ディスプレイを吸着しておく磁石が強力なので、ネジを取り外したり取り付けるときに磁石に吸い付けられないようにする必要がある
対象のiMacのモデル(機種)
当ページで説明している方法でHDD/SSDの交換ができるiMacの機種の一覧です。
外観上の共通点は、シルバーのアルミニウムの本体です。
また、すべてインテルMacです。
発売年 | モデル(機種) | 最小OS | 最大OS |
---|---|---|---|
2009 | iMac (21.5-inch, Late 2009) | 10.6.1 | 10.13.6 |
2009 | iMac (27-inch, Late 2009) | 10.6.1 | 10.13.6 |
2010 | iMac (21.5-inch, Mid 2010) | 10.6.3 | 10.13.6 |
2010 | iMac (27-inch, Mid 2010) | 10.6.3 | 10.13.6 |
2011 | iMac (21.5-inch, Mid 2011) | 10.6.6 | 10.13.6 |
2011 | iMac (27-inch, Mid 2011) | 10.6.6 | 10.13.6 |
2011 | iMac (21.5-inch, Late 2011) | 10.7 | 10.13.6 |
End of list |
モデル(機種)の確認方法ですが、OS X 10.7 Lion以降ならアップルメニューの「このMacについて」から表示できます。
または、iMac本体のスタンドの真下にシリアル番号が書かれているので、それをもとに以下のサイトでモデル(機種)が検索できます。
OSの復元方法を事前に決めておく
このページで紹介しているiMacのモデル、2009年Lateから2011年Lateまでについては、リカバリディスクが同梱されている機種もあれば、ディスクがなくインターネットリカバリの機種があります。
よって、HDDを交換した後にOSをインストールするときには、リカバリディスクやインターネットリカバリで新規インストールするか、または別途インストール用のディスクやUSBメモリを用意する必要があります。
別途インストール用のディスクとしては、OS X 10.6.3のディスクがAmazonから購入できます。
一方、OS X 10.7 Lionや10.8 Mountain Lionの場合は、インストール用のUSBメモリをアップルから購入するか、自分でインストールプログラムをダウンロードしてUSBメモリを作成します。
USBメモリは、以下のアップル公式サイトから購入できます。
さらに、10.7 Lion以降のインストール用USBメモリを自作する場合は、以下の記事で手順を紹介しています。
10.9 Mavericks以降のOSをインストールしたい場合も参考にしてください。
データのバックアップについて
HDD交換作業に失敗したときのために、データのバックアップを取っておくことを強く推奨します。
方法は、Mac標準機能のTimeMachineが手軽でおすすめです。
また、その他のバックアップ方法については、以下の記事から複数紹介しているのがご覧いただけます。
必要な工具
必須の工具
次の3つは、ないと作業ができないので、必須です。
- T8トルクスドライバー
- バキュームリフター
- ホッチキスの針
最後の「ホッチキスの針」については、見出し「HDDの温度センサーケーブルについて」で説明しています。
以下、各工具の説明です。
T8トルクスドライバー
T8トルクスドライバーは、おそらく持っている人が少ないと思いますが、先端が6つあり星型になっている特殊なドライバーです。
「トルクス」という名前は登録商標になっているので、「ヘックスローブ」という名前で呼ばれることもありますが、実際は同じものです。
ホームセンターやAmazonで取り扱っています。
100均にも置いてある場合があります。
以下、アマゾンのリンクです。
バキュームリフター
iMacの前面のガラスパネルは、iMac本体と強力な磁石でくっついています。
ちょっとやそっとでははがれないので、吸盤を使って引っ張ります。
以下に使用している商品のアマゾンのリンクを張っていますが、使いやすいのでおすすめです。
ほぼ必須の工具
iMacのディスプレイを留めているネジの近くには、強力な磁石がいくつも取り付けられているので、ネジを取り外したり取り付けるときに磁石に吸い寄せられて非常に作業がやりにくいです。
そこで、ピンセットやラジオペンチなどのネジを挟める工具があると作業がやりやすくなるので、ほぼ必須と言いたい工具です。
ピンセット
必須ではないが、あればそろえておきたい工具
A4用紙、筆記用具、セロハンテープ
工具ではありませんが、複数の似たようなネジを何個も取り外すので、もとの場所がわかるように、A4サイズなどの適当な紙・筆記用具・セロハンテープを用意して、イラストやメモを描きながらテープ止めしておくことをおすすめします。
使用可能なHDDやSSD
交換用のHDDやSSDとしては、SATA形式の3.5インチまたは2.5インチのドライブが使えます。
HDDを使う場合は、容量が大きくコスパの良い3.5インチを選ぶ場合が多いですが、SSDはほぼほぼ2.5インチしか選択肢がありません。
2.5インチの場合は「マウンタ」という部品を取り付けて、3.5インチのドライブと似た形式にして取り付けます。
以下は、おすすめの商品です。
3.5インチHDD
2.5インチSSD
マウンタ
iMacの分解とHDDの交換の手順
ここからの説明で使っているiMacのモデルは、次の機種です。
- iMac (21.5-inch, Late 2009)
他のモデルでもおおむね同じ方法でできますが、多少の違いがある点はあらかじめご了承ください。
▶︎ iMacから電源ケーブルを抜いて、背面にある電源スイッチを5-6回押します。
これは、iMacを分解したときに内部に残っている電流で感電したり、ネジを転がしたときに基盤をショートさせないためです。
▶ iMacを立たせた状態で、バキュームリフターを前面のガラスパネルに貼り付けて引っ張って取り外します。
このガラスパネルはiMac本体といくつもの強力な磁石でくっついているので、かなり力を入れないと外れません。
コツとしては、ガラスパネルの上部の端の近くを貼り付けて、少しずつ引っ張りながら、わずかなスキマができたら指を突っ込んで再び磁石でくっつかないようにすることです。
▶ 前面のガラスパネルが取り外せたら、適当な場所に立て掛けておきます。
▶ 前面のガラスパネルを外したiMacを寝かせた状態にして、液晶ディスプレイを留めているT8トルクスのネジを外します。
▶ ネジの外し方ですが、近くに強力な磁石があるため、あと少しで外せる状態になったら、ピンセットやラジオペンチを使ってつまみ上げると良いです。
▶ ネジを外したら、iMacを立てた状態にして倒れないように注意しながら、液晶ディスプレイを前に倒しつつ、iMacの中にあるHDDを取り外します。
図の矢印2箇所のT8トルクスのネジを外します。
▶ ネジを外したら、図の矢印のあたりに接続されているケーブルを全て取り外しながらHDDを取り出します。
図ではわかりずらいですが、SATA信号ケーブル・電源ケーブル・温度センサーケーブルの3つがあります。(iMaのモデルによっては、温度センサーケーブルがない場合もあり)
▶︎ HDDが取り出せたら、両側のT8トルクスのネジや部品を取り外します。
▶︎ HDDが完全に取り出せました。
▶ 交換用のHDDを組み込んでiMacを組み立てる場合は、ここまでの逆の手順に従って行います。
ただし、HDDに温度センサーケーブルが付いていた場合は、次の「HDDの温度センサーケーブルについて」を読んで必要な処置を行ってください。
HDDの温度センサーケーブルについて
iMacの機種によっては、HDDの温度を感知するセンサーケーブルが接続されている場合があります。
この場合のHDDはアップル専用品で、このようなセンサーケーブル接続用の端子付きのHDDは入手困難なので、一般品を使うことになります。
そうなると、本来HDDに接続されている温度センサーケーブルの先端をショートさせて無効化させておかないと、iMacの冷却ファンが全開で回転するといった不具合が報告されています。
以下の図では、ホッチキスの針を折り曲げて、端子の真ん中の部分に差し込んでショートさせています。
そのままだとホッチキスの針が抜け落ちたり、他の部品とショートさせる恐れがあるので、セロハンテープを巻いています。
まとめ
冒頭にも書きましたが、Late 2009からLate 2011のiMacは他の時期のiMacと比べて分解がしやすく、macOS 10.13 High Sierraまで対応、CPUもCore i5やi7搭載だったり、メモリが16GBまで使えたり、2021年現在でも十分「使える機種」です。
HDDの故障で起動しないなどで使っていなかったり安く手に入れられた場合は、このページを参考にしてHDDやSSDを換装して再利用してみてください。
このページの記事は、ここまでです。
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