M1/M2/M3などのAppleシリコンMacで使える仮想環境アプリ「UTM」のバージョン4正式版がリリースされたので、特徴の紹介とインストール方法を解説します
同類のアプリParallels DesktopやVMware Fusionと比較して荒削りな部分もありますが、それらのアプリにはない機能もあるので、選択肢の一つとして知っておいても良いでしょう。
なお、当ページの内容は、以下の環境で検証しました。
UTMなどの仮想環境アプリを使う場合は、Macの搭載メモリ8GBだと動きが遅くて使いづらいので、16GB以上がオススメです。
項目 | 内容 |
---|---|
Mac機種 | Mac Book Air (M1, 2020) |
搭載メモリ | 16GB |
搭載CPU・GPU | Apple M1 CPU 8コア、GPU 8コア |
macOSバージョン | 14.1 Sonoma |
UTM バージョン | 4.4.4 (92) 2023/10/21 リリース |
Windows 11バージョン | Windows 11 Pro 22H2 (22621.1702) |
このページの内容は、以前公開した次の記事のアップデート版です。
UTM バージョン3版
UTMバージョン4の特徴
動作環境
- ゲストOS:macOS Big Sur 11.3、macOS Monterey 12、macOS Ventura 13、macOS Sonoma 14以降が対象
新機能
- ゲストmacOS Sonoma 14以上の場合に、ウィンドウの境界をドラッグして解像度の変更が可能(macOS Sonoma 14の新機能AVFを利用)
- メニュー項目や画面内メッセージなどの日本語化
- Windowsセットアップ時に各種ドライバ(ディスプレイ・ネットワーク・サウンド)の自動インストール
UTM独自のユニークな機能
- ゲストOS稼働のCPUと同じ仮想マシン作成(仮想化)の他に、異なるCPUをエミュレートできる
- AppleシリコンMacで、インテル版のWindows 7などを実行したり、インテル版やPowerPC版の古いmacOSが実行可能
異なるCPUのエミュレートでは、速度は仮想化と比べると大きく劣ります。
とはいえ、たまにしか必要でない場合は、まずは試してみてほしい機能です。
詳しくは、以下の記事で説明しています。
作業の大まかな流れ
作業項目は多いですが、難しい部分はないので、ダウンロードの時間を含めても、実質作業時間は数十分〜1時間ぐらいです。
- ① UTMバージョン4のインストール
- ② Windows 11のISOイメージをダウンロード
- ③ Windows 11の仮想マシンの作成
- ④ Windows 11のセットアップ
- ⑤ SPICE Guest Toolsのインストール
- ⑥ 日本語入力の設定
⑤の「SPICE Guest Toolsのインストール」では、このアドオンアプリをインストールすることにより、次のような機能が使えるようになります。
- ホストMac <=> ゲストWindows、とのクリップボード共有
- ウインドウのリサイズで解像度の変更
類似の仮想環境アプリの「Parallels Desktop」「VMWare Fusion」「VitrualBox」でも似たようなアドオンアプリがあるので、役割としては同じようなものだと思います。
ちなみに、上記の2つの機能を使わない人は、あえてインストールしなくても問題ありません。
① UTMバージョン4のインストール
Mac App Storeでも入手できますが、有料です。(¥1,500。2023年11月2日の時点)
そこで、ここではUTMの公式サイトから無料版をダウンロードします。
Mac App Storeと公式サイトで何が違うのかは、確認していません。
▶ 以下のリンクをクリックして、UTMの公式サイトを開きます。
▶ サイトが開いたら、「Download」のボタンをクリックして、dmgファイルをMac内の適当な場所にダウンロード(保存)します。
▶ dmgファイルがダウンロードできたら、ダブルクリックしてマウントします。
マウントとすると内容が表示されるので、「UTM」のアイコンを「Applications」のフォルダへドラッグしてインストールします。
▶ Finderの「アプリケーション」のフォルダを開いて、「UTM」をダブルクリックして起動します。
▶ 起動時にセキュリティの確認画面が表示されるので、「開く」のボタンをクリックします。
▶ UTMの初期画面が表示されたら、UTMのインストールは完了です。
▶ UTMのインストールは、ここまでです。
MacBookなどでトラックパッドを使っている場合は、以下の設定を行なってスクロース方向を反転させておきましょう。
▶︎ メニューバーの「UTM」から「設定…」を選択
▶︎タブ「入力」の中にある、項目「スクロールを反転」にチェックを入れる
② Windows 11のISOイメージのダウンロード
Windows 11のインストールには、ISOイメージを使用します。
ISOの入手方法はいくつかありますが、ここでは公式サイトでも推薦している操作が簡単なアプリ「CrystalFetch」を使います。
当サイトでは以下リンク先の別ページで「CrystalFetch」の詳しい使い方を解説していますが、このページでは説明上必要な部分を抜き出して引用しています。
▶ 以下のリンクをクリックして、Mac App Storeからアプリ「CrystalFetch」をインストールします。
▶︎ アプリ「CrystalFetch」を起動します。
▶︎ アプリ「CrystalFetch」が起動したら、図で赤く囲んだ部分の各項目を選択します。
- Version
- Architecture
- 言語
- Edition
▶︎ 各項目を選択したら、画面右下のボタン「ダウンロード…」をクリックします。
▶︎ 図のように「マイクロソフトソフトウェアライセンス条項」の画面が表示されたら、ボタン「Accept」をクリックします。
▶︎ ダウンロード中は画面の下の棒グラフで進捗状況が表示されるので、次の操作が促されるまで放置します。
時間が数十分〜数時間かかることもあるので、この間に他の作業を行なっていてもOKです。
▶︎ ダンロードが完了して、図のようにISOを保存する場所を指定する画面が表示されたら、通常はフォルダ「ダウンロード」を指定します。
フォルダ「ダウンロード」以外の場所だと、保存に失敗することがあります。
場所を指定したら、ボタン「移動」をクリックします。
▶︎ フォルダ「ダウンロード」を確認してISOが保存されていたら、操作完了です。
▶︎ Windows 11のISOイメージのダウンロードは、ここまでです。
アプリ「CrystalFetch」は終了させてください。
次の章では、Windows 11のインストールを行います。
③ Windows 11の仮想マシンの作成
▶ UTMを開き、+ 表示の「新規仮想マシンを作成」をクリックします。
▶ 画面に「開始」と表示されたら、ウサギのアイコンの「仮想化」をクリックします。
▶ 画面に「オペレーティングシステム」と表示されたら、「Windows」をクリックします。
▶ 画面に「Windows」と表示されたら、順番に以下の操作を行います。
- ① 「Windows 10以降をインストール」にチェックを入れる
- ② 「ドライバとSPICEツールをインストール」にチェックを入れる
- ③ ボタン「選択…」をクリック
「② ドライバとSPICEツールをインストール」にチェックを入れておくと、Windowsのセットアップ中に自動的に各種ドライバ(ディスプレイ・ネットワーク・サウンド)をインストールしてくれます。
その後でSPICEツールをインストールする必要はありますが、セットアップ中の作業が楽になりますので、ぜひチェックを入れておきましょう。
▶ ファイルを開く画面が表示されたら、あらかじめダウンロードしておいたISOファイルを指定してから、「開く」をクリックします。
▶ 「Windows」と表示された画面に戻ったら、ボタン「続ける」をクリックします。
▶ 画面に「ハードウェア」と表示されたら、「メモリ」と「CPUコア数」を必要に応じて変更してからボタン「次へ」をクリックします。
「メモリ」と「CPUコア数」の目安は、Mac搭載量の半分までです。
よくわからなければ、とりあえずデフォルトのままで設定をして、動きが鈍いと思ったら、あとで変更することもできます。
▶ 画面に「ストレージ」と表示されたら、必要に応じてサイズ変更してからボタン「次へ」をクリックします。
よくわからなければ、デフォルトのままで構いません。
▶ 画面に「共有ディレクトリ」と表示されたら、MacとWindowsの両方から読み書きするディレクトリを設定する場合は、ボタン「選択…」をクリックして設定を行います。
よくわからない場合は、設定しなくても構いません。
その後に、ボタン「続ける」をクリックします。
▶ 画面に「概要」と表示されたら、「名前」を必要に応じて適当に変更してから、ボタン「保存」をクリックします。
▶ 仮想環境の一覧画面に切り替わったら、仮想環境の作成が完了です。
▶ 引き続いてWindows 11のセットアップを実行するので、そのまま次の章に進んでください。
④ Windows 11のセットアップ
▶︎ 再生アイコンをクリックします。
▶ 背景が黒色の仮想マシンの画面が表示されて、次の文字が表示されたら、画面の中をクリックしてから、キーボードでreturnキーを押下します。
Press any key to boot from CD or DVD ...
なお、Windowsのセットアップ中に何度か自動的に再起動がかかり、その度にこの画面が表示されますが、returnを押下するのは最初の1回だけで良いです。
▶︎ 図のようなWindowsのセットアップ画面が表示されたら、ボタン「次へ」をクリックします。
▶︎ ライセンス認証の画面が表示されたら、文字「プロダクトキーがありません」をクリックします。
▶︎ インストールするエディションの選択画面が表示されたら、好みの方を選んでから、ボタン「次へ」をクリックします。
ここでは例として、「Pro」を選んでみます。
▶︎ この後は、画面に表示される内容に従って、セットアップを続けてください。
▶ Windowsのデスクトップ画面が表示されたら、セットアップ完了です。
▶ 続いて、アドオンアプリ「SPICE Guest Tools」をインストーラするので、そのまま次の章に進んでください。
⑤ SPICE Guest Toolsのインストール
▶ UTMでWindows 11を起動した状態で、ファイルエクスプローラを起動します。
▶ ファイルエクスプローラが起動したら、サイドバーからラベル「utm」のディスクをクリックして開きます。
▶ ディスクの内容が表示されたら、ファイル名「utm-guest-tools-(バージョン番号)」のアプリケーションファイルをダブルクリックして実行します。
▶ インストール画面が表示されたら、「Next」をクリックします。
▶ ライセンス合意書が表示されたら、「I Agree」をクリックします。
▶ インストールが開始すると、数分で完了するので、しばらく待ちます。
▶ インストールが完了したら、選択項目の「I want to manually reboot later」を選択してから、ボタン「Finish」をクリックします。
その後に、手動でWIndowsを再起動させてください。
この理由ですが、「Reboot now」を選択していると、高確率で仮想マシンがフリーズするからです。
▶ Windows 11が再起動したら、SPICE Guest Toolsのインストール完了です。
ここまでの状態では、仮想マシンに2つのCD/DVDイメージ「WindowsのISO」と「SPICE Guest Tools」がマウントされた状態です。
この後は、これらのCD/DVDイメージはもう使わないので、アンマウントさせます。
やり方は、仮想マシンの画面の右上のCD/DVDアイコンをクリックしてから「取り出す」をクリックします。
2つのCD/DVDイメージとも「取り出す」を操作します。
この後は、日本語入力の設定をします。
このまま、次の章に進んでください。
⑥ 日本語入力の設定
▶ キーボードの日本語入力の切り替えを設定します。
タスクバーの「あ」または「A」を右クリックして、「設定」を選択します。
▶ 「Microsoft IME」の設定画面が表示されたら、「キーとタッチのカスタマイズ」をクリックします。
▶ キーアサインの設定画面が表示されたら、「Shift + Space」に「IME-on/off」を割り当てます。
割り当てたら、この画面は閉じてOKです。
▶ ここまでで、日本語表示の設定が完了です。
以上で、ひととおりの設定が完了しました。
お疲れさまでした!
まとめ
UTMバージョン4でWindows 11をインストールする方法を紹介しました。
Windows 11を使うだけなら、同類のアプリ「Parallels Desktop」や「VMware Fusion」の方が使い勝手が良いです。
しかし、IntelやPowerPCのOS(Windows/macOS)のエミュレートはUTM独自の機能なので、そういったニーズには検討しても良いのではないでしょうか。
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コメント
貴重な情報ありがとうございます。Windowsセットアップの段階で、必要なファイルがインストールできないと表示されるのですが(エラーコード:0x8007025D)、アドバイスいただけませんでしょうか?