アップル公式サイトで、古いmacOS(Mac OS X)がDMG形式でダウンロードできますが、これをISOに変換する方法を紹介します。
通常は、AppleシリコンMacや最近のインテルMacではISOを作成できませんが、それを解決するシェルスクリプトを作成しました。
ISOに変換できれば、各種仮想環境アプリ(VMware Fusion/VirtualBoxなど)でmacOSのインストールに使えます。
① 概要
ここでは、以下の内容について説明します。
(1) 現在のDMG形式の配布の問題点
問題点を一言で言うと、AppleシリコンMacや最近のインテルMacでは、DMG形式のファイルはダウンロードできても、そこから実際にmacOSのインストールに使うAPP形式やISO形式のファイルは作成できない、という点です。
以下、細かいですがステップを追って説明します。
以下の表は、ステップ①からステップ④までで、macOSのインストーラの入手から形式変換の移り変わりを表しています。
形式は、DMG形式 -> PKG形式 -> APP形式へと移り変わっています。
まず、アップルの公式サイトからダウンロードしたmacOSインストーラは、DMG形式になっています。(以下の表のステップ②)
これをダブルクリックすると、PKG形式のファイルが表示されます。(以下の表のステップ③)
さらにPKG形式のファイルをダブルクリックすると、フォルダ「アプリケーション」にAPP形式のmacOSインストーラがインストールされます。(以下の表のステップ④)
ネット検索するとよくヒットする情報では、最後のステップ④のAPP形式のmacOSインストーラからISOを作成する方法が紹介されています。
ところが、使用しているMacがサポート対象のmacOSのバージョンに合致していないと、ステップ③のPKGファイルをダブルクリックしても実行できないため、ステップ④のAPP形式のインストーラが作成できません。
例えば、AppleシリコンMacや最近のインテルMacでは、10.7 Lionなどの古いバージョンは動作しないので、ステップ③のPKG形式からステップ④のAPP形式のインストーラは作成できません。
ステップ① | ステップ② | ステップ③ | ステップ④ | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ダウンロードリンク | 配布物 DMG形式 | PKG形式 | APP形式 | ||||
アイコンは以下に表示 | |||||||
ダウンロード直後のファイル名 | DMGをダブルクリックして表示されるファイル名 | PKGをダブルクリックして作成されるファイル名 | |||||
10.12 Sierra | ダウンロード直リンク | InstallOS.dmg | InstallOS.pkg | macOS Sierraインストール.app | |||
10.11 El Capitan | ダウンロード直リンク | InstallMacOSX.dmg | InstallMacOSX.pkg | OS X El Capitanインストール.app | |||
10.10 Yosemite | ダウンロード直リンク | OS X Yosemiteインストール.app | |||||
10.9 Mavericks | × | × | × | × | |||
10.8 Mountain Lion | ダウンロードページを開く | InstallMacOSX.dmg | InstallMacOSX.pkg | OS X Mountain Lionインストール.app | |||
10.7 Lion | ダウンロードページを開く | Mac OS X Lion インストール.app |
(2) PKG形式からISOを作成するシェルスクリプトを自作
前述のような問題点があるため、シェルスクリプトを自作しました。
シェルスクリプトとは、Macの標準アプリ「ターミナル」で実行できる、簡単なプログラムのことです。
このシェルスクリプトでは、最新のmacOS 14 Sonomaが動いているAppleシリコンMacやインテルMacで、PKGからISOが作成できます。
以下は、ファイルの内容を表示しています。
シェルスクリプトの内容は面倒くさいので解説しませんが、ニーズがあるようなら検討します。
# Mac OS X 10.7 Lion 〜 macOS 10.12 Sierra インストールpkg -> iso
# 2023/11/23作成 「Macのアンチョコ」 https://yama-mac.com/
# macOSのバージョンをインプット
echo ""
echo "macOSバージョンを入力(以下の1から6の半角整数を入力してから、returnキー押下)"
echo "1 = 10.7 Lion、2 = 10.8 Mountain Lion、3 = 10.9 Mavericks"
echo "4 = 10.10 Yosemite、5 = 10.11 El Capitan、6 = 10.12 Sierra"
read os_version
# 入力チェックと、作成するISOの名前を設定
case "$os_version" in
1 ) echo "1 = 10.7 Lionが入力されました。"
os_version_name="10.7-Lion";;
2 ) echo "2 = 10.8 Mountain Lionが入力されました。"
os_version_name="10.8-Mountain-Lion";;
3 ) echo "3 = 10.9 Mavericksが入力されました。"
os_version_name="10.9-Mavericks";;
4 ) echo "4 = 10.10 Yosemiteが入力されました。"
os_version_name="10.10-Yosemite";;
5 ) echo "5 = 5 = 10.11 El Capitanが入力されました。"
os_version_name="10.11-El-Capitan";;
6 ) echo "6 = 10.12 Sierraが入力されました。"
os_version_name="10.12-Sierra";;
* ) echo "1から6の半角整数以外が入力されたので、スクリプトを中断します。"
exit;;
esac
iso_name=$os_version_name"-pkg-to-iso.iso"
# 読み出し元のpkgの名前を設定
case "$os_version" in
[1-5] ) pkg_name="InstallMacOSX.pkg";;
6 ) pkg_name="InstallOS.pkg";;
esac
# BaseSystemのディスクラベルを設定
case "$os_version" in
[1-3] ) base_system_label="Mac OS X Base System";;
[4-6] ) base_system_label="OS X Base System";;
esac
# pkgファイルを圧縮解除して、フォルダに展開
pkgutil --expand ~/Desktop/$pkg_name ~/Desktop/tmp_Installer
# 展開したパッケージ内のフォルダに移動
cd ~/Desktop/tmp_Installer/$pkg_name
# tarコマンドで解凍・展開
tar -xf Payload
# 作業用イメージファイルを作成して、マウント
hdiutil create -o /tmp/tmp_iso.cdr -size 7316m -layout SPUD -fs HFS+J
hdiutil attach /tmp/tmp_iso.cdr.dmg -noverify -nobrowse -mountpoint /Volumes/iso
# 復元元のBaseSystem.dmgをマウントして、復元
hdiutil attach InstallESD.dmg -noverify -nobrowse -mountpoint /Volumes/esd
asr restore -source /Volumes/esd/BaseSystem.dmg -target /Volumes/iso -noprompt -noverify -erase
# シンボリックリンクを削除して、実ファイルをコピー(復元の結果、復元先のマウント名が変わっていることに注意)
case "$os_version" in
[1-3] )
rm "/Volumes/Mac OS X Base System/System/Installation/Packages"
cp -rp "/Volumes/esd/Packages" "/Volumes/Mac OS X Base System/System/Installation"
;;
[4-6] )
rm -r "/Volumes/OS X Base System/System/Installation/Packages"
cp -rp "/Volumes/esd/Packages" "/Volumes/OS X Base System/System/Installation"
;;
esac
# BaseSystem関連2ファイルを、ルートディレクトリにコピー
case "$os_version" in
[1-3] )
cp -rp /Volumes/esd/BaseSystem.chunklist "/Volumes/Mac OS X Base System/"
cp -rp /Volumes/esd/BaseSystem.dmg "/Volumes/Mac OS X Base System/"
;;
[4-6] )
cp -rp /Volumes/esd/BaseSystem.chunklist "/Volumes/OS X Base System/"
cp -rp /Volumes/esd/BaseSystem.dmg "/Volumes/OS X Base System/"
;;
esac
# マウント中のボリュームを、アンマウント
hdiutil detach /Volumes/esd
case "$os_version" in
[1-3] )
hdiutil detach "/Volumes/Mac OS X Base System/"
;;
[4-6] )
hdiutil detach "/Volumes/OS X Base System/"
;;
esac
# 作業用イメージファイルを、ISOイメージに変換
hdiutil convert /tmp/tmp_iso.cdr.dmg -format UDTO -o /tmp/tmp_iso.iso
# ISOイメージの名前と保存先を変更
mv /tmp/tmp_iso.iso.cdr ~/Desktop/$iso_name
# 作業用フォルダ・作業用イメージファイルを削除
rm -rf ~/Desktop/tmp_Installer
rm /tmp/tmp_iso.cdr.dmg
(3) 当ページの方法で作成したISOで各種仮想環境アプリでインストール検証した結果
作成したISOを各種の仮想環境アプリで「インストールできるか?」を検証した結果を以下の表にまとめました。
macOS 14 Sonomaがインストールされた、インテルMac上で検証しました。
- VMware Fusion 13.5(公開終了)
- Parallels Desktop 17
- VirtualBox 7.0
VMware Fusion 13.5 | Parallels Desktop 17 | VirtualBox 7.0 | |
---|---|---|---|
動作は比較的軽い | インストール不可 | 動作が重い | |
10.12 Sierra | ○ | × | × |
10.11 El Capitan | ○ | × | ○ |
10.10 Yosemite | ○ | × | ○ |
10.9 Mavericks | – | – | – |
10.8 Mountain Lion | ○ | × | ○ |
10.7 Lion | ○ | × | × |
Parallelsは、どこか設定をいじればインストールできるかもしれませんが、普通にやったところではいずれのmacOSバージョンもインストールができませんでした。
VMwareとVirtualBoxのインストールエラー回避でいじった設定については、後述の「TIPS」の枠の中をご覧ください。
また、VMwareとVirtualBoxの両方でインストールできる場合は、VirtualBoxは動作が重たいため、VMwareを第一に使うことを強くおすすめします。
VMwareを初めて使う方は、以下の記事でアカウントの作り方のページからご覧ください。
VMwareのインストールエラー回避
VMware Fusionでは、普通にインストールすると図のようにキーボードとマウス(トラックパッド)が認識されないことがあります。
以下、解決方法です。
仮想マシンの「設定」画面から、アイコン「USBとBluetooth」をクリックします。
項目「詳細USBオプション」をクリックして、展開表示します。
項目「USB互換性」の選択内容を”USB 2.0″または”USB 1.1″に変更して、仮想マシンを再起動してみてください。
VirtualBoxのインストールエラー回避
VirtualBoxでは、普通にインストールするとエラーが出てインストーラが起動できないことがあるので、その場合はメモリをデフォルトの「2048 MB」から「3000 MB」などにアップしておきます。
CPU数もデフォルトの「1」では少なすぎるので、最低でも「2」以上に変更します。
さらに、macOSのインストール時に、デフォルトではインストール先の内蔵ディスクが表示されないので、図のようにメニューバーから「ディスクユーティリティ」を起動します。
アプリ「ディスクユーティリティ」が起動したら、内蔵ディスクを選択してから、ボタン「消去」をクリックしてフォーマットします。
フォーマット完了したらアプリ「ディスクユーティリティ」を終了して、macOSのインストールに戻って作業を続けます。
② シェルスクリプトの使い方
大きく分けて次の3段階の作業があります。
(1) macOSインストーラの入手
▶︎ あらかじめ、前の章の内容をもとにして、DMGファイルをダウンロードしておきます。
- 【① 概要 – (1) 現在のDMG形式の配布の問題点】の一覧表の「ステップ①」のタテ列の部分にリンクが張っています・・・「ダウンロード直リンク」や「ダウンロードページを開く」の部分です。
▶︎ ダウンロードしたDMGをダブルクリックして、内容を表示します。
内容は、PKGファイルが1つだけ表示されるはずです。
▶︎ Finderを使って、PKGファイルをフォルダ「デスクトップ」にドラッグ&ドロップしてコピーします。
▶︎ 図のようにコピーできたら、次の章に進みます。
(2) シェルスクリプトのダウンロードまたは作成
▶︎ 前の章の内容をもとにして、シェルスクリプトファイルをダウンロードしてZIPを展開(解凍)します。
ダウンロードする場所は、どこでも構いません。
あるいは、シェルスクリプトの内容をコピーして、エディタ「CotEditor」などで作成しても構いません。
なおその際には、拡張子は「.sh」にすることと、「実行可能なファイル」に設定する必要があります。
▶︎ シェルスクリプトをダウンロードまたは作成したら、シェルスクリプトが表示されたFinderの画面は閉じないでそのままにして、次の章に進みます。
(3) シェルスクリプトの実行
シェルスクリプトの実行前に、必ず次の「重要」の中の作業を行なってください。
行なっていないと、高確率でシェルスクリプトの実行に失敗します。
以下からは、シェルスクリプトの実行方法の説明です。
▶︎ MacのFinderで、フォルダ「アプリケーション」->「ユーティリティ」の中にある、アプリ「ターミナル」をダブルクリックして起動します。
▶︎ アプリ「ターミナル」が起動したら、画面の中にシェルスクリプトをドラッグ&ドロップします。
▶︎ 図のように、アプリ「ターミナル」の画面の中にシェルスクリプトのファイル名がフルパスで表示されたら、キーボードのreturnキーを押下して実行します。
▶︎ 図のように「macOSバージョンを入力」と表示されたら、半角英数の1から6の数字を入力してから、returnキーを押下します。
▶︎ シェルスクリプトが動き出したら、完了するまで数分間待ちます。
▶︎ 画面の更新がされなくなって、図のようにコマンドプロンプトが表示されたら、シェルスクリプトの実行完了です。
▶︎ デスクトップにISOファイルが作成されていることを確認します。
説明は以上です。
まとめ
アップル公式サイトで、ダウンロードしたDMG形式のmacOSインストーラをISOに変換する方法を紹介しました。
作成したISOは、本文中でも説明したVMware FusionやVirtualBoxで使うことが考えられます。
VMware Fusionで使う場合は、以下の記事が参考になります。
当サイトでは、カテゴリ【VMware Fusion】や【MacでWindowsを使う】の記事を多数公開していますで、ご覧ください。
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- 2023/11/24
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